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プロパンガスの知識
  • 公開日 : 2025年10月10日
  • 更新日 : 2025年10月10日

LPガス(プロパンガス)とは何か?基本知識から料金削減まで完全ガイド

「毎月のガス代が高くて家計を圧迫している」
「LPガスとプロパンガスって何が違うの?」
「都市ガスより料金が高い理由が知りたい」

戸建て住宅にお住まいでLPガスをご利用の方なら、一度はこのような疑問や悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。特に主婦やファミリー層の方にとって、光熱費は家計管理の重要な要素です。

実は、LPガス=プロパンガスであり、多くの方が混同しがちな基本認識から、都市ガスとの違い、料金が高くなる構造的な理由、そして具体的な見直し方法まで、この記事で包括的に解説します。

最後まで読んでいただければ、LPガスに関する基礎知識が身につき、実際にガス料金を安くするための具体的なアクションが取れるようになります。

LPガスとは何か?基本的な定義と仕組み

LPガス(エルピーガス)とは「Liquefied Petroleum Gas」の略称で、液化石油ガスのことです。*石油を精製する際に発生する副産物を主原料とし、常温では気体ですが圧力をかけることで液体状にしてボンベに充填し、各家庭に配送されます。

LPガスは石油系炭化水素を原料としており、主にプロパンとブタンという成分で構成されています。これらの成分は常温常圧では気体として存在しますが、適度な圧力をかけることで液体に変化する性質を持っています。この性質を利用して、効率的に貯蔵・輸送することが可能になっており、日本全国どこでも供給できる利便性の高いエネルギー源として活用されています。

プロパンガスとLPガスの関係:実は同じもの

多くの方が疑問に思う「LPガス」と「プロパンガス」の違いですが、基本的に同じものを指しています。
呼び方の違いは使用する場面や文脈によって使い分けられています。

呼び方使用場面説明
LPガス業界・公的機関正式な名称として使用
プロパンガス一般消費者主成分のプロパンから呼ばれる通称
液化石油ガス法令・規格日本語での正式名称

家庭用LPガスはJIS等でプロパン系成分が80%以上と定められており、プロパンが主成分のため一般に「プロパンガス」と呼ばれます。この呼び方の違いが混乱を生む原因となっていますが、実際には同じエネルギー源を指していることを理解しておくことが重要です。

ガスの原料・種類の違いを理解する

LPガスを正しく理解するために、他のガス燃料との原料の違いを確認しましょう。

LPガスの主成分はプロパン(C₃H₈)が80%以上、ブタン等が残りを占めます。
都市ガスの主成分はメタンです。(地域・時期で組成は変動します)
この成分構成の違いは、単なる化学的な違いにとどまらず、実際の使用時における発熱量や燃焼特性に大きな影響を与えます。プロパンはメタンよりも分子量が大きく、同じ体積でもより多くのエネルギーを含んでいるため、効率的な燃焼が可能になっています。この特性が、後述する発熱量や料金体系の違いにつながっています。

LPガスと都市ガスの違い

LPガスと都市ガスには、成分だけでなく供給方式や料金体系に大きな違いがあります。資源エネルギー庁のデータを基に、客観的に比較していきます。

成分と供給形態の根本的な違い

LPガスと都市ガスの最も大きな違いは供給方式にあります。LPガスは個別供給方式を採用しており、ボンベに液化したガスを充填して各家庭に配送する仕組みです。これに対して都市ガスは導管供給方式で、地下に埋設された配管網を通じて気体のままガスを各家庭に供給しています。

供給方式の比較

項目LPガス都市ガス
供給方式個別供給(ボンベ配送)導管供給(地下配管)
発熱量約24,000kcal/m³約11,000kcal/m³
比重空気より重い(約1.5倍)空気より軽い(約0.6倍)
供給エリア全国対応可能都市部中心(地域により未整備の場所もあり)

たとえば、LPガスは1m³あたりの発熱量が都市ガスの約2.2倍もあります。
また、ガスの比重にも違いがあります。LPガスは空気よりも重く、漏れた場合は低い場所にたまる性質があります。一方、都市ガスは空気よりも軽く、漏れた場合は上方に拡散していきます。この性質の違いは、安全対策や設備設計において重要な要素となっています。

参照:資源エネルギー庁「標準発熱量・炭素排出係数」

料金体系と災害復旧の特徴

料金規制の面では、LPガスと都市ガスに大きな制度的違いがあります。

料金規制の違い

項目LPガス都市ガス
料金規制自由料金制原則自由料金(競争が不十分な地域では規制料金メニューあり)
価格決定各販売店が設定事業者が設定(原則自由料金)
地域格差大きい小さい
災害復旧個別対応で早い導管修復が必要

LPガスは自由料金制のため、販売店が自由に価格を設定できます。
これが後述する「料金が高い理由」の主要因となっています。この制度の違いにより、LPガスでは同じ地域内でも販売店によって大きな料金格差が生じることがあります。

災害復旧の面では、LPガスの個別供給システムが大きな優位性を発揮します。
2011年の東日本大震災時には、このLPガスの復旧の早さが特に注目されました。被災地域では、LPガスを使用している家庭で比較的早期にガスの使用を再開できた事例が確認されています。

LPガスのメリットとデメリット:客観的な評価

LPガス利用を検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解することが重要です。

LPガスの主要なメリット

LPガスの最大の特徴は高発熱量による効率性です。都市ガスの約2.2倍の発熱量を持つため、少ない使用量でも同等の効果を得ることができます。この特性は特に業務用厨房で重宝されており、プロの料理人が強い火力を必要とする調理において、LPガスが選ばれる理由の一つとなっています。

主要なメリット

  • 高発熱量:都市ガスの約2.2倍の発熱量
  • 設備の柔軟性:導管工事不要で手続きが整えば短期間で開通可能
  • 災害対応力:個別復旧により早期再開可能
  • 全国対応:建物の立地に関係なく利用可能

設備設置の柔軟性も大きなメリットです。
都市ガスは導管工事等で一定の期間を要する一方、LPガスは導管工事不要で比較的短期間で開始できる場合があります。引越し時の対応も迅速で、新居での利用開始手続きが簡単に行えます。

LPガスの主要なデメリット

一方でデメリットも存在します。最も大きな問題は価格の地域差と不透明性です。

主要なデメリット

  • 価格の地域差:同じ地域でも販売店により大きな価格差
  • 料金の不透明性:適正価格の判断が困難
  • 都市ガスとの料金格差:都市ガスより高い傾向
  • ボンベ交換の手間:定期交換時の立会いが必要

一般的にLPガスは都市ガスより料金が高い傾向にあります。発熱量換算後でも、地域や契約によっては都市ガスの方が安価となる傾向が見られます。

また、日常的な運用面では、定期的なボンベ交換が必要で、交換時には立会いや確認作業が求められます。残量管理にも注意が必要で、ガス切れを防ぐための計画的な使用が重要になります。

LPガスの料金が高くなる理由:制度と流通構造から解説

多くの方が疑問に思う「なぜLPガスは高いのか」について、制度面と流通構造の観点から具体的に説明します。

自由料金制による価格設定の仕組み

LPガスは規制緩和により完全自由料金制となりました。この制度変更により、各販売店が独自の判断で料金を決定できるようになった一方で、価格競争が十分に機能しない地域では高止まりの状況が生まれています。

自由料金制の特徴

  • 価格設定の自由度:各販売店が独自に料金を決定
  • 地域格差の発生:同じ地域でも販売店により大きな価格差
  • 料金体系の複雑化:基本料金、従量料金の組み合わせが多様化

たとえば、同一市内でも販売店によって月額料金に大きな差が生じるケースがあります。この価格差の背景には、各販売店の経営方針、顧客獲得戦略、コスト構造の違いなどが複合的に影響しています。消費者側からすると、どの価格が適正なのかを判断するための基準や情報が不足していることが、この問題をより深刻化させています。

流通構造による価格上乗せのメカニズム

LPガスの流通構造は、元売会社から卸売業者、小売業者を経て消費者に届くという多段階の構造になっています。この多段階流通により、各段階で利益が上乗せされることになり、最終的な消費者価格の押し上げ要因となっています。

LPガスの流通構造

元売会社 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者

価格構成要素としては、原料費、配送・保管費、設備・メンテナンス費、販売店利益・その他が発生し、原料費以外の部分が上乗せされます。

そのため、流通過程での効率化が価格低減の重要な鍵となっています。配送・保管費については、LPガスの特性上、専用のボンベや配送車両が必要であり、個別配送というシステム上、一定のコストが発生することは避けられません。

近年では、卸売事業者を経由せずに元売事業者と販売事業者が直接取引する仕組みなど、流通効率化の取り組みが進められています。

LPガス料金を安くする方法:具体的な2つのアプローチ

高いLPガス料金を下げるためには、使用方法の見直しと供給業者の切り替えという2つのアプローチがあります。

使用量削減による節約方法

日常生活でのガス使用量を減らすことは、即効性のある節約方法です。特に効果が高いのはお風呂での使用量削減です。

お風呂での節約テクニック

  • 追い焚き回数を減らす:1回あたり数十円程度の節約
  • お湯の温度を1℃下げる:月数百円程度の節約効果
  • 節水シャワーヘッドの利用:使用量20%削減が可能
  • 家族での連続入浴:追い焚き回数の最小化

※具体的な金額は使用量・地域・契約により大幅に変動します。

キッチンでの節約方法

  • お湯の出しっぱなし防止:食器洗い時の意識改革
  • 電子レンジとの使い分け:下茹でやお湯沸かしの効率化
  • 鍋底の水分除去:熱効率向上による時短効果

これらの工夫を組み合わせることで、月に1,000円程度の節約が見込める場合があります。実践することにより、一般的な4人家族では月に1,000円から2,000円程度の削減が見込める場合があります。小さな工夫の積み重ねが、年間では大きな節約効果を生み出すことになります。
※ただし、具体的な金額は使用量・地域・契約により大幅に変動します。

ガス会社の比較と切り替え方法

より根本的な解決方法は、ガス会社の切り替えです。料金比較の際は基本料金と従量単価の両方を確認し、実際の使用量での総額を比較することが重要です。

料金比較のチェックポイント

  • 基本料金:月額固定費用
  • 従量単価:1m³あたりの単価
  • 総額:実際の使用量での月額料金

切り替え手続きの流れ

  1. 現在の料金明細を確認
  2. 複数業者からの見積もり取得
  3. 契約内容の詳細確認
  4. 切り替え手続きの実行
  5. 初回点検・安全確認

重要なのは、単純な安さだけでなく、保安体制やアフターサービスも含めた総合的な判断です。安い料金を提示していても、緊急時の対応が不十分だったり、定期点検がしっかりと行われなかったりする業者では、結果的に安全性に問題が生じる可能性があります。

切り替え時の注意点

  • 解約費用:現契約の違約金の有無
  • 設備交換:メーター・調整器の交換費用
  • 保安体制:24時間対応の有無
  • 料金の透明性:将来的な値上げリスク

特に値上げリスクについては、契約時の料金が永続的に保証されるものではないため、料金改定の条件や手続きについても理解しておく必要があります。

信頼できるLPガス会社の選び方

ガス会社選びでは、料金だけでなく安全性とサービス品質を重視することが重要です。

優良業者の見分け方

優良なLPガス業者を選ぶためには、いくつかの重要な評価基準があります。

選定基準のチェックリスト

料金の透明性

□明確な料金表示:基本料金・従量単価が明記
□適正価格の提示:地域相場との比較情報
□値上げ時の事前通知:透明性のある料金改定

保安・サービス体制

□24時間緊急対応:ガス漏れ等の緊急時対応
□定期点検の実施:法定点検の確実な実行
□技術者の資格:液化石油ガス設備士等の有資格者

実績と信頼性

□事業継続年数:長期的な安定供給の実績
□地域密着度:地元での評判と実績
□許可・認定:液化石油ガス販売事業者の許可

これらの体制が整っていない業者は、安全性の面でリスクがあります。
また、液化石油ガス販売事業者としての正式な許可・認定を受けていることは最低限の条件となります。

現代的なサービスの活用

従来の訪問営業中心のビジネスモデルに加え、オンラインで料金比較や契約手続きが可能なサービスも登場しています。このようなオンラインサービスには多くの利点があります。

オンラインサービスの特徴

  • 料金比較の透明性:複数業者の一括比較が可能
  • 手続きの簡便性:来店・立会い不要での契約
  • 中間コストの削減:直販により料金を抑制
  • サポート体制:チャット・電話での相談対応

特に中間コストの削減により料金を抑制できる点は重要です。
従来の多段階流通を省いた直販型サービスでは、中間業者の利益分を削減することで、より競争力のある料金を提供することが可能になっています。

直販型サービスのメリット

  • 中間業者を省くことによる価格競争力
  • 初期費用(設置工事費等)の無料化
  • オンラインでの使用量確認・管理機能
  • 365日対応の保安体制

このようなサービス形態は、料金体系の透明性を高め、消費者が比較・選択しやすい環境を提供しています。忙しい現代の生活スタイルに適した利便性の高いサービスとして利用が広がりつつあります。

まとめ:LPガスを正しく理解して賢く利用する

この記事で解説した重要なポイントを整理します:

基本理解

  • LPガス=プロパンガス:同じものを指す呼び方の違い
  • 都市ガスとの違い:成分・供給方式・料金体系が異なる
  • 高発熱量:都市ガスの約2.2倍の効率性を持つ

料金が高い理由

  • 自由料金制:各販売店が価格を自由設定
  • 流通構造:多段階流通による価格上乗せ
  • 地域格差:同地域でも業者により大きな価格差

料金削減の方法

  • 使用量見直し:お風呂・キッチンでの節約テクニック
  • 業者切り替え:複数業者比較による適正価格の選択
  • 現代的サービス活用:オンライン完結・直販型の利用

最も重要な認識は、LPガス業界は自由料金制で、消費者が事業者を選択できる環境が広がりつつあるということです。
料金の高さに悩んでいる方は、現在の契約内容を見直し、適正価格での供給を受けられる業者への切り替えを積極的に検討することをお勧めします。

このようなサービスでは、透明性の高い料金体系と365日対応の保安体制を提供する業者もあります。初期費用ゼロで切り替えできる事業者もあるため、現在の料金と比較検討してみることが重要です。

現在のLPガス料金が適正かどうか不安な方、または具体的にどの程度の節約が可能かを知りたい方は、まず料金シミュレーションを行ってみることをお勧めします。シミュレーションを通じて、現在の契約内容と他社サービスとの比較を行うことで、具体的な節約効果を把握することができます。

LPガスは正しく理解し、適切な業者を選択すれば、高発熱量というメリットを活かしながら、合理的な価格で利用できるエネルギーです。この記事の情報を参考に、ぜひご自身の契約を見直し、より良いLPガスライフを実現してください。

現在のガス料金が気になる方は、こちらの料金シミュレーションで簡単に比較検討ができます。数分で完了する簡単な入力で、具体的な節約効果をご確認いただけます。

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※本記事は資源エネルギー庁の公式データを基に作成しており、客観的で信頼性の高い情報提供を心がけています。LPガスに関する最新情報は、資源エネルギー庁のウェブサイトでご確認ください。

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この記事のライター
DsmartEnergyコラム編集部

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